CPAPやマウスピース、レーザー治療でも改善しない頑固ないびきや重症の睡眠時無呼吸症候群(SAS)には、外科手術が選択肢に入ります。いびき手術には複数の術式があり、それぞれ対象となる解剖学的問題が異なります。効果は高い反面、術後の痛みや入院が必要なこと、術式によっては効果が一時的であることなど、注意すべき点も多いです。この記事ではいびき手術の種類・適応・メリット・デメリット・費用・リスクを詳しく解説し、手術を検討する際の判断材料をお伝えします。
いびき手術の主な種類と特徴

UPPP(口蓋垂軟口蓋咽頭形成術)
いびき手術の中で最も代表的な術式です。口蓋垂(のどちんこ)と軟口蓋の余分な組織を切除し、咽頭の気道を広げます。保険適用で自己負担額は約10〜15万円、1週間程度の入院が必要です。術後2週間ほどは強い喉の痛みがあり、食事は流動食から開始します。いびきの改善率は60〜80%と報告されていますが、数年後に組織が再び緩んで効果が低下するケースもあります。重症SASの根本治療として選ばれることが多い術式です。
※手術費用の自己負担を軽減する制度として、厚生労働省「高額療養費制度」があります。入院手術の場合は事前に確認しておきましょう。
鼻中隔矯正術
曲がった鼻中隔をまっすぐに整え、鼻呼吸を改善する手術です。鼻づまりが原因で口呼吸になり、いびきが悪化しているケースに有効です。保険適用で自己負担額は約10〜20万円で、入院期間は3〜5日程度です。鼻中隔の彎曲は日本人に多い骨格的特徴で、慢性的な鼻づまりに悩んでいる方はこの手術でいびきが大幅に改善することがあります。
下鼻甲介切除術(粘膜下下鼻甲介骨切除術)
慢性的に肥厚した下鼻甲介の粘膜や骨を切除して鼻腔を広げ、鼻呼吸を改善する手術です。アレルギー性鼻炎や慢性鼻炎による鼻閉が原因のいびきに有効です。保険適用で自己負担額は約5〜10万円で、日帰りまたは1泊入院で受けられます。鼻中隔矯正術と同時に行われることも多く、両方を実施することで鼻呼吸が大幅に改善し、いびきの軽減効果が高まります。
扁桃摘出術
肥大した扁桃腺(口蓋扁桃)を摘出して咽頭の気道を確保する手術です。扁桃肥大が原因のいびき・SASに非常に効果的で、特に子供のSASでは第一選択の治療法とされています。成人でも扁桃肥大がある場合は高い改善率が期待できます。保険適用で自己負担額は約10〜15万円、入院期間は5〜7日程度です。術後1〜2週間は喉の痛みが続きますが、回復後は長期的にいびきの改善効果が持続します。
舌根部の手術
舌の付け根(舌根部)が肥大して気道を塞いでいる場合に行われる手術です。舌根部の組織をレーザーや高周波で縮小する方法や、舌骨を前方に固定して気道を広げる舌骨前方固定術などがあります。他の手術と比べて適応が限定的で、実施できる施設も少ないのが現状です。UPPPで効果が不十分だった場合の二次手術として検討されることがあります。
いびき手術のメリット

根本的な原因を解消できる
手術の最大のメリットは、いびきの物理的な原因を直接的に解消できることです。CPAPのように毎晩装置を装着する必要がなく、マウスピースのように毎日の装着と管理の手間がありません。手術で気道の構造的な問題を改善すれば、日常的な器具の使用なしにいびきが軽減されます。
保険適用で費用負担が軽い
UPPP・鼻中隔矯正術・扁桃摘出術など主要な術式は保険適用です。自己負担額は5〜20万円程度で、高額療養費制度を利用すれば月あたりの負担上限額が適用されます。自費のレーザー治療(ナイトレーズなど)の3回セットが15〜30万円かかることを考えると、保険適用の手術は費用面で有利です。
重症SASにも対応できる
セルフケアやレーザー治療では改善が難しい重症の睡眠時無呼吸症候群にも、外科手術なら対応可能です。特にUPPPと鼻腔手術の組み合わせは、AHI(無呼吸低呼吸指数)を大幅に低下させる効果が報告されています。
- 手術の種類とリスクを十分理解する
- 術後の痛み・回復期間を確認
- 保険適用かどうか事前に確認
- セカンドオピニオンを受ける
いびき手術のデメリット・リスク

術後の痛みが強い
特にUPPPと扁桃摘出術は術後の喉の痛みが強く、2週間程度は食事に苦労します。流動食や柔らかい食事から始めて徐々に通常食に戻していく必要があります。痛み止めの処方はありますが、日常生活への復帰には1〜2週間かかるのが一般的です。
入院が必要
多くの術式で3日〜1週間の入院が必要です。仕事や家庭の都合で長期間休みを取れない方にとっては大きなハードルになります。日帰り手術が可能なのは下鼻甲介切除術やレーザーによる鼻腔手術など一部の術式に限られます。
効果が一時的な場合がある
UPPPでは術後数年で軟口蓋の組織が再び緩み、いびきが再発するケースが報告されています。特に肥満の方は体重管理を継続しないと手術の効果が持続しにくい傾向があります。手術後も生活習慣の改善を続けることが大切です。
合併症のリスク
まれですが、術後出血・感染・鼻声の変化・嚥下障害(飲み込みにくさ)・口蓋閉鎖不全(飲み物が鼻に逆流する)などの合併症が起こる可能性があります。経験豊富な耳鼻咽喉科医のもとで手術を受けることでリスクを最小限に抑えられます。
手術を検討すべき人・避けるべき人

手術を検討すべきケースとしては、CPAP治療が継続できない方、マウスピースで効果が不十分だった方、明らかな解剖学的異常(鼻中隔彎曲・扁桃肥大・口蓋垂の肥大)がある方、重症SASで他の治療法では改善しない方が該当します。一方で、高度肥満(BMI35以上)で気道の圧迫が全体的な方は、手術だけでは改善が難しいため、まず減量を優先すべきです。また、全身麻酔のリスクが高い持病(重度の心疾患や肺疾患など)がある方は、手術以外の治療法を検討する必要があります。
手術前後の流れと注意点

手術前にはファイバースコープ検査やPSG(終夜睡眠ポリグラフ検査)で正確な診断を行い、いびきの原因箇所を特定します。複数の原因がある場合は、どの術式を組み合わせるかを医師と相談して決定します。手術当日は全身麻酔または局所麻酔で行われ、術式に応じて30分〜2時間程度で完了します。術後は医師の指示に従って安静にし、処方された痛み止めや抗生剤を服用します。退院後も1〜2週間は激しい運動・飲酒・喫煙を避け、柔らかい食事を心がけましょう。術後1か月・3か月・6か月のタイミングで経過観察を受け、いびきや無呼吸の改善状況を確認します。
手術費用の詳細と高額療養費制度

いびき手術の費用は術式ごとに異なりますが、主要な手術はすべて保険適用です。UPPP(口蓋垂軟口蓋咽頭形成術)は自己負担3割で約10〜15万円、鼻中隔矯正術は約10〜20万円、扁桃摘出術は約10〜15万円、下鼻甲介切除術は約5〜10万円が目安です。複数の手術を同時に行う場合は合計額がさらに高くなりますが、高額療養費制度を利用することで月あたりの自己負担額に上限が設定されます。一般的な所得の方であれば月8万円程度が上限となります。入院費用(差額ベッド代・食事代)は別途かかりますので、事前に病院の医事課で総額の見積もりを確認しておくことをおすすめします。また、民間の医療保険に加入している方は、入院給付金や手術給付金の対象となる場合がありますので、保険会社にも確認しておきましょう。
手術以外の治療法との比較

手術を決断する前に、他の治療法との違いを理解しておくことが重要です。CPAP治療は重症SASに最も効果が高く、装着すればほぼ確実にいびきと無呼吸を抑制できますが、毎晩マスクを装着する煩わしさがあり、旅行や出張時の持ち運びも負担になります。マウスピース治療は軽症〜中等症に有効で手軽ですが、顎関節に負担がかかる場合があります。ナイトレーズなどのレーザー治療は痛みが少なくダウンタイムがほぼありませんが、効果の持続期間が6か月〜1年と短く、繰り返しの施術が必要です。手術は一度で根本的な改善が期待できる反面、入院と術後の回復期間が必要です。自分の症状の重さ・生活スタイル・仕事の都合を考慮して、最適な治療法を選びましょう。どの治療法が適しているか迷う場合は、複数の治療法を提供しているクリニックで相談することをおすすめします。
よくある質問
Q. いびき手術は痛いですか?
術中は麻酔が効いているため痛みは感じません。術後は術式によって異なりますが、UPPPや扁桃摘出術では2週間程度の喉の痛みがあります。鼻の手術は比較的痛みが軽く、数日で落ち着くことが多いです。痛み止めが処方されますので、医師の指示に従って服用しましょう。
Q. 手術でいびきは完全になくなりますか?
完全になくなるとは限りません。いびきの原因が複数箇所にある場合や、肥満が併存している場合は、手術だけでは十分な改善が得られないこともあります。ただし適切な術式を選択すれば、60〜80%の改善率が期待できます。
Q. 手術後にいびきが再発することはありますか?
はい、特にUPPPでは数年後にいびきが再発するケースが報告されています。体重増加や加齢による組織の緩みが原因です。手術後も体重管理や禁酒・横向き寝などの生活習慣改善を継続することで、再発リスクを下げられます。
Q. いびき手術の入院期間はどのくらいですか?
術式によります。UPPPで5〜7日、扁桃摘出術で5〜7日、鼻中隔矯正術で3〜5日、下鼻甲介切除術は日帰り〜1泊が一般的です。退院後も1〜2週間は自宅での安静が推奨されます。
- CPAP・マウスピースが合わない・続かない
- 鼻中隔彎曲や扁桃肥大など構造��問題がある
- AHI 30以上の重度SAS
- レーザー治療で効果が不十分だった
- 根本治療を希望する場合
🏥 いびき治療を考えている方へ
専門クリニックでは、レーザー治療やマウスピースなど一人ひとりに合った治療が受けられます。まずは無料診断で深刻度をチェックし、お住まいの地域のクリニックを探してみましょう。
まとめ
いびき手術は保存的治療で改善しない頑固ないびきや重症SASに対する有効な選択肢です。UPPP・鼻中隔矯正術・扁桃摘出術など主要な術式は保険適用で、根本的な原因を解消できるメリットがあります。一方で術後の痛みや入院期間、効果の持続性、合併症リスクなどのデメリットも理解した上で判断する必要があります。まずは耳鼻咽喉科で精密検査を受け、自分のいびきの原因が手術で改善できるタイプかどうか確認することが第一歩です。

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- 厚生労働省(www.mhlw.go.jp)
- 日本睡眠学会(jssr.jp)
- 日本呼吸器学会(www.jrs.or.jp)
本記事は上記など公的機関・学会が公開する情報を参考に、いびきラボ編集部が作成しています。症状がある場合は医療機関にご相談ください。
本記事は、各クリニックの公式情報・厚生労働省などの公的資料・医学的根拠をもとに、いびきラボ編集部が作成し、定期的に内容を見直しています。掲載内容は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療については必ず医療機関にご相談ください。





